週末の一行語録解説【4/30号】

■実際に体験させることは、どの営業方法よりも意思決定に影響を与える

広告の業界では3つの「Not」という言葉がある。

 

3つの「Not」とはNot read(読まない)/Not believe(信じない)/Not act(行動しない)という売り手側が越えなければならない障壁のことである。

 

まず、広告の内容を読まない、そして内容を読んでもらったとしても「どうせうそでしょ」と思って信じない。

 

そして、内容が信用できたとしても購入するまでには至らない(行動しない)という壁があるのである。

 

この3つの「Not」というのは広告の世界だけでなく、営業の世界でも同じようなことがいえる。

 

さしずめ営業の場合の3つの「Not」はNot listen(聞かない)/Not believe(信じない)/Not act(行動しない)という感じではないだろうか。

 

話を聞いてくれないし、その内容を信じないし、信じたとしても購入してくれないという具合である。

 

営業マンも日々、この3つの「Not」に苦心しながら、気を使い、営業テクニックを使いこの壁を乗り越えようとしていると思う。

 

本来は、この1つ1つの壁に対して対策を考えなければならない訳であるが、ある1つの方法を取ることでこの3つの壁を同時に排除することができる。

 

その方法とは「体験」させるという営業方法だ。

 

世の中には体験という方法を使った営業手法は山のようにある。

 

例えば、化粧品の無料サンプル、英語の無料体験レッスン、そして車の試乗や住宅の1日お泊り体験なども「体験」させるという営業手法に該当する。

 

この体験という方法は前述した通り、3つの壁を同時に排除できる非常に素晴らしい営業テクニックである。

その理由を1つ1つ解説するとこんな感じである。

 

1)Not listen(聞かない)

体験という言葉通り、まずは体験してもらうことが目的であるため商品やサービスを無料で提供するということが前提になる。

 

この無料という言葉は見込み客に注意を向けさせるには大きな影響力を与える。

 

ある実験では1円のチョコと26円の高級チョコを用意した時に、多くの人は26円の高級チョコを選ぶのだが、無料のチョコと25円の高級チョコを用意すると、同じ金額差であるにも関わらず、多くの人が無料のチョコを選択するのである。

 

朝、新聞に挟まっているチラシを思い浮かべてみても分かると思うが、たいして必要のない商品であったとしてもチラシの目立つところに「無料」とデカデカと書いてあると人はついつい見てしまうものなのである。

 

無料という言葉は、注意を喚起する上で非常に有効な言葉なのである。

 

2)Not believe(信じない)

人の言葉を疑う人は多くいるが自分の言葉を疑う人はいない。

 

当たり前の話であるが、人は自分自身に嘘はつけない。

 

なので体験させるというのは、営業マンが直接説得するより、他の人から推薦をもらうより、どんな方法よりも信頼性は高くなるのである。

 

3)Not act(行動しない)

一度、商品やサービスを体験するとそれに付随してあらゆる心理効果が生まれる。

 

まずは返報性。

 

商品やサービスを無料で体験させてもらった、このまま購入せずに帰るのは申し訳ないという心理が働く。

 

そして、サンクコスト効果。

 

サンクコスト効果とは既に支払ってしまったコスト(労力、お金、時間)が無駄になってしまうという心理から他を検討しなくなる行為である。

 

無料体験までしておいて他を検討するのが面倒と思うのはまさにサンクコスト効果である。

 

そして自己説得。

 

例えば、住宅の1日お泊り体験などは、ある程度気に入っているからお泊り体験などをする訳であり、かなり家の購入に気持ちが向いている。

 

ここでお泊り体験をすることによって、今の自分の考えが間違いでないことを確認しようとしているのである。

 

そして一度体験をしてしまうと、認知不協和の影響で余程のことがない限り良かったと思うのである。

 

ここでご紹介した心理効果については全てが同時に起こるということもあるし、シーンによっては発生しない心理効果もあるかもしれない。

 

しかし、この心理効果のどれかは発生する可能性が高く、1つでも発生すれば購入という選択を取る可能性は飛躍的に高くなるのである。

 

少々、長々とした解説になってしまったが、「体験」させるという営業手法は、3つの壁を排除する非常に素晴らしい営業手法である。

 

この体験という方法でどのようなことができるのかを考えると、何か面白い案が浮かんでくるのではないだろうか。

 

2016年04月30日コラムマーケティング