【商品が良すぎると実は売れない】

Man with black mask in studio

ある日の研修でのこと。

 

営業マンに対してプレゼンテーションの研修を行っていました。

 

その内容は、自身の営業トークに心理学的な要素を盛り込み、売れるトークにしていくものです。

 

その研修の中で、両面提示という方法論を伝えていました。

 

両面提示というのは、メリットばかりを強調しがちな営業トークにあえてデメリットを入れてみるという方法です。

 

商品のメリットばかりを並べたてるよりも、少しのデメリットが入った方が顧客からの信頼を得やすく、そして受注につながりやすいという理論です。

 

この理論には、私は非常に共感できます。

 

なぜ、この理論に共感できるのかというと自分自身がこのような営業をしていることが多かったからです。

 

私は他の営業マンとは少し違った軸を持っていると思うことがあります。

 

その違った軸というのは、お客様に対して「絶対に買った方がいい」とか「絶対うまくいく」と誇張した表現を使いたくないと思っていますし、実際にあまり言いません。

 

なぜ、このような信念を持つようになったのかというルーツを辿っていくと前職の営業の経験が大きく影響していることに気づきました。

 

前職はノンバンク業界で融資という業務を行っていたのですが、ノルマがきつく多くの営業マンが必死になって業績を上げようとしていました。

 

そして多くの営業マンが契約を取るために、『誇大』ともいえるようなトークをしていたのです。

 

特にお客様との契約の瞬間に、その側面が良く見えていました。

 

お客様「この不動産の仮登記書類というのは何ですか?」

 

営業「万が一、債権事故となってしまった場合にご所有されている不動産に仮登記が入りますが、まずそんなことはないと思います。それに仮登記が入る前に必ず私が連絡を入れますのでそのようなケースはほとんどありません。万が一仮登記されたとしても解除することも簡単です」

 

保証人「私の不動産にも仮登記されるのですか?」

 

営業「まずは○○さん(借主)との話し合いです。それからの話ですので、いきなりという事はあり得ません」

 

実は、この契約には公正証書という書面が交わされており、特に話し合いがなくとも上記の手続きができるようになっています。

 

そして実際、話し合う前に借主、保証人とも登記されるケースがほとんどであり、解除することも一般の人からすると簡単ではありません。

 

しかし、このような説明を行った場合、本当に債権事故となってしまった場合に、回収段階でトラブルとなることが多く、回収も長期化することが多かったのです。

 

しかしかく言う私も、新人の頃は契約を取ることに必死で、都合の悪いことをあまり言いたくないと思っていました。

 

契約を取るためにデメリットはひた隠しにして、メリットばかりを強調していたのです。

 

そしてお客様から説明を求められた時に、挙動不審となり、その様子が元となり契約を破棄されるケースが多かったのです。

 

ただ、ある程度経験も積み上がってくると回収リスクも考えるようになり、契約時には万が一の時の事(顧客からするとデメリット)をはっきりというようになりました。

 

そうすると、逆に顧客からの信頼を得るようになりリピート契約も新人の頃よりもはるかに多くなっていったのです。

 

≪完璧な商品は売れるのか?≫

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営業マンは、「うちの商品がもっと良ければ売れるのに・・・」と嘆きます。

 

しかし、非の打ちどころがない商品というのは本当に売れるでしょうか?

 

例えば、住宅を販売していたとします。

 

営業「今回ご紹介する物件は非常に素晴らしいものです。まず見てくださいこの内装!素晴らしくオシャレな内装で、ご購入いただいた方の100%が大満足です。そして耐震性!こちらの物件は震度8の地震が発生しても壁にヒビ1つ入りません。そしてこの素晴らしい立地!駅、幼稚園、小学校、コンビニが全て徒歩圏内・・・・・・・・・・・そしてこの素晴らしい物件のお値段ですが、今がお買得の●●万円!いかがですか?」

 

この営業トークを読んだ時にどう思ったでしょうか?

 

はっきり言って

 

「うさんくさい・・・」

 

です。

 

営業マンは紹介する商品の事を魔法のような商品だと語りたがりますが、お客様は過去に1度も魔法のような商品に出会ったことがありません。

 

だから、あまりにも非の打ちどころのない商品であると訴えれば訴える程、うさんくさく聞こえてしまうものなのです。

 

素晴らしい商品だったとしても、信頼されなければ結局は売れないのです。

 

では、信頼されるためにどうすれば良いのか。

 

あえてデメリットも伝えてみるという事です。

 

世の中に完璧な商品などありません。

 

違う視点で見れば、一見完璧に思える商品でもデメリットはあるはずです。

 

そのデメリットをあえて伝えてみる。

 

特に営業マンに懐疑的な新規客などには有効な手段です。

 

プレゼンテーションには自信があるのになぜか売れない・・・

 

もし、そのようなことに悩んでいるのであれば、

 

「商品がいかに素晴らしいかを伝えれば伝える程、売れなくなることもある」

 

こんな原則も覚えておいてもらえたらと思います。

 

2016年12月03日コラム営業