【お客様の話を聞きすぎるととんでもない目にあう】
「企業の透明性か・・・」
昨日、日経新聞を読んでいると、こんな見出しが目に飛び込んできました。
それが「納税額 20社超が国別開示」。
これは法人税をどの国でいくら収めているのかを公表する企業が相次いでおり、欧州などではその法整備も進んでいるとのこと。
これは現在のメガトレンドであるESGの流れ。
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取って作られた言葉であり、、、
気候問題や人権問題への対策、透明性への配慮を投資家が求めるようになっている時流のことです。
過度な節税効果を狙う企業に世界的な批判が集まる。
その対策のために納税情報を開示する動きにある。
納税情報を開示すればクリーンな企業イメージを保つことができる。
そのため企業がこのような流れを受けて情報開示に走る。
「これからの企業はクリーンであるべき」
「企業の透明性の高さが重要だ」
このような姿勢が企業に求められるようになるのです。
しかしながら、このESGの流れ、単にあるべき姿と捉えて実行する企業は痛い目を見る。
なぜ、環境に配慮すべきなのか、なぜ多様性を求めるべきか、なぜ透明性を保つ必要があるのか・・・
この先の目的が曖昧なままESGやSDGsなどと叫んでいないだろうか?
「透明性を高めることで何がしたいのか?」
例えば、
「投資家からの支持を得て資金を調達し、積極的な成長戦略を描きたい」とか
「長期的な視点で投資してくれる安定株主を集めたい」とか
「クリーンなイメージを保つことで採用における競争環境を勝ち抜き、優秀な人材を獲得したい」など。
このような企業価値にまで落とせるストーリーが描けているかが重要なのです。
企業価値とは、EV(Enterprise Value)であり、EVはCF/(r‐g)で導き出すことができる。
※CF:キャッシュフロー、r:割引率、g:成長率
つまり、数字にまで落とし込むことができるか。
ESGにおける活動が、企業価値のどの数字に影響してくるのか。
そこまで描くことが重要なのです。
あるべき姿を追い求めるのは重要ではあるが、その目的までを捉えず行動する。
そんな輩はいずれ痛い目を見ることになる・・・
あなたの会社はESGへの目的をしっかりと捉えているだろうか?
目的なくあるべき姿を追求した悲惨な結末
顧客のあるべき姿を捉えて営業する姿勢は極めて重要です。
しかしながら、あるべき姿を追求する目的を見失ってしまうと悲惨な結末が待っています。
例えば、求人広告の営業をしていたとして顧客から求人の依頼が来た。
その依頼に対して
「今回の求人の目的は何でしょうか?そもそも本当に人材が必要なのでしょうか?」
と聞いてしまう。
ここからは泥沼の始まり・・・
社長からこんな言葉が飛び交うようになる。
「社員は忙しいと言っているが、確かに私の頃はもっとモーレツに働いていたものだ」
「それが今はどうだ?部下育成は厳しくしてはならない?ワークライフバランスは重要だ?」
「そんなことだから日本は弱くなっていくのだ!」
「君もそうは思わんか?」
こんな感じで相手の信条まで引き出すと、まさに地獄。
ここからどう話を方向転換させようとしても簡単には戻らない。
そして永遠と相手の独演会を聞かされる羽目になるのであるが、小さな受注でこんなことをやっているとキリがないのである。
あるべき姿を追求する。
それは重要なことではあるが、その目的を見失ったまま進めると大変な事態にさらされる。
そうならないように、あなたは何を目的としてその話を引き出そうとしているのか・・・
それをよくよく考えておくべきなのである。