トップセールスインタビュー

第67回のリアルトップセールスインタビューはCOMULINK(コミュリンク)を経営されている堤さんです。
堤さんの本業は英会話スクールの経営です。
元々、ECCの出身ということもあり、英会話教室の経営についてはノウハウをお持ちであり、その経験を活かして2017年に独立されました。
今の英会話教室はフランチャイズという方式を取っており、従業員に英会話教室の経営を指導しながらも、ゆくゆくは自分自身で独立してもらう体制を取っています。
英会話教室の経営を行う上で、最も重要なのが集客ノウハウです。
いくら有能な講師陣を揃えても、生徒が集まらなければ意味がありません。
また、英会話教室はサービス品質自体での差別化は図りづらく、集客力が経営のカギを握るといっても過言ではありません。
その集客に関して、堤さんはこれまでの様々なノウハウを蓄積しており、今となってはそのノウハウを売りにしたインターネットマーケティングのコンサル業も事業として行っているのです。
お客様の対象としては、コンサル業やエステ経営、そしてセミナー講師業の方を対象としてサービスを展開しています。
その実績の一部をお伺いすると、すごい実績が次々と出てきました。
先程もご紹介したように堤さんは2017年1月から独立しています。
その半年後の2017年7月にセミナー集客を行いましたが、広告を使わずに受講料2,000円のセミナーで『184名』の集客に成功しています。
その他にも2017年11月に受講料5,000円のセミナーで100名集客を実現させた後、2018年1月からはSNSやWEB集客に特化した有料セミナーを開催。
25名定員の全5回のセミナーを毎回満席!!
そして、現在では初めてセミナーに参加したお客様が、セミナー参加後わずか5日で20万円のサービスを購入、そして1か月以内に100万円の売上を達成するなど短期間で多くの実績を上げています。
では一体どのような方法を取っているのでしょうか?
半端ない情報提供
堤さんの集客媒体のメインはfacebookです(以下FBで略称)。
FBのイベントページから集客し、LINE@に登録してもらう事からスタートしています。
FBからの集客技術も素晴らしいのですが、それよりもリアル営業を生業としているあなたが学ぶべきはLINE@登録後のフォローです。
その登録後に営業の本質とも言うべき行為を行っているのです。
その行為とは一体何なのか。
まず、堤さんはLINE@に登録してくれたお客様に即座にアクセスします。
「今回はどのようなきっかけでLINE@に登録したのか」
「今、何に困っているのか」
などを聞き込むのです。
そして登録者の悩みの聞き取りができれば、即座にその悩みを解消する情報を提供します。
しかも、それは無料です。
堤さんはブログで書き溜めたノウハウがあり、初めて登録してくれたお客様の悩みに合わせてブログの記事を紹介するのです。
そして1週間後に、問題が解決したかどうかを確認し、まだ問題が解決していないようなら更に情報を提供するのです。
その情報の中には有料セミナーなどで提供しているレベルの情報を提供していることもあります。
私はそれを聞いた時に、あまり情報を開示しすぎるとセミナー集客に支障があるのではないかと質問しましたが、特に支障はないと堤さんは話してくれました。
逆に惜しみなく情報を提供した方が、集客が良くなり、セミナーの満足度も高いと。

通常、事前の情報開示は、セミナーでの満足度が下がらないようにある程度のところで開示を抑制します。
それはセミナーに来た時に「もう既にその話は知っていますよ」となるとセミナーでのインパクトは弱まり、その後の仕事につながらないからです。
しかし、そのような常識を覆し、堤さんはその逆の行動に出ています。
ある意味、セミナーへのインパクトよりも初期段階での関係性の構築を最重要視しているのです。
そしてお客様は他者では行っていないような半端ない情報開示に驚き、一瞬で堤さんの虜になっているのです。
これが短期間で100名以上のセミナー集客を実現させている根源になっているのではないかと私は推測しています。
半端ないコミュニケーション量
そして堤さんの驚くべきもう1つの実績。
それがセミナー参加からわずか5日間で、20万円もの高額商品を購入してもらえるノウハウです。
つい先日まで、あまり知らなかった人物から20万円もする商品の購入を決断させるなど並大抵のことではありません。
徐々に関係性を深めていって、最初は少額のサービスから試していってもらい、そして高額商品を購入していただくというのが王道です。
しかし初めてセミナーに参加したお客様が5日後の個別面談に即申し込み行い、そして個別相談に参加した時にはもう既に決断をした状態で参加されるのです。
どうすれば、そのような短期間に信頼を獲得できるのでしょうか?
それはセミナーでのプレゼン(売り込み)が驚異的という訳ではなく、その前後に秘訣が隠されていたのです。
堤さんはお客様からセミナーの参加申し込みがあると、即座に接触を図ります。
これは売り込みをするという事ではなく、セミナーを満足いくものにするために情報を収集するのです。
「セミナーに求めているもの」「集客に活用しているツール」「どのような集客媒体を使っている(使いたい)か」など、お客様の状況を把握します。
そして、そのような質問をする傍ら「どのような職業の方か」や、話が盛り上がれば趣味の話にまで発展していきます。
そしてセミナー参加後も、セミナーの感想や追加で欲しい情報など顧客フォローを徹底しています。
そして何よりもこのコミュニケーションツールとしてLINE@を使っているという事が素晴らしい仕掛けになっています。
LINEというとあなたもご存じの通り、会話には長文を使わず短文でのやり取りがほとんどになると思います。
そうなると会話のやり取りは通常のメールよりも遥かに多くなっていきます。
そのコミュニケーションの量が多くなっていくというのが実はかなり重要な仕掛けです。
あなたも単純接触効果という言葉はご存じかと思いますが、人は繰り返しの接触により親近感を持ち、その行為が続いていくと信頼関係が深まっていくような気になってきます。
この単純接触効果というのは接触している時間よりも接触回数が大きく影響してくるものです。
このLINE@を使うと1つの会話で複数回のやり取りが発生するため、その接触頻度が膨大になっていくのです。

その膨大となる接触頻度が短期間に信頼関係を構築していくための1つの仕掛けになっているのです。
そしてこの高速単純接触効果が、短期間であるにも関わらず高額商品を買っていただくまでの信頼関係獲得に大きく寄与しているのです。
水田チェック
今回の堤さんのノウハウはまさに信頼関係にフォーカスした内容でした。
信頼関係とは「人柄」×「接触回数」で構築されていくと言いますが、まさにその両面を押さえた活動です。
新規登録顧客に惜しげもない情報を提供している姿勢に堤さんの『人柄』を感じ、そしてLINE@による高速単純接触効果によって『接触回数』を膨大に増やし、短期間に信頼関係を構築することを実現しています。
この方法は何もネット業界だけの話ではなく、リアル営業を行っているあなたにも十分に通じる話です。
通常は有料と思えるサービスをあえて提供する。
そして接触回数を増やすために何をすれば良いのか?
接触回数を増やす方法というのはシンプルな所からいくと、「訪問後のお礼メールを書く」「訪問前に挨拶メールを書く」その他にもあえて「売り込みをしない営業活動を設定」し、接触頻度アップを図ってみるなど。
その他にもいくつも考えが及ぶはずです。
私は過去にメルマガ配信システムを使わずに、名刺交換したお客様に定期的にメールを送り続ける営業担当者にも会ったことがあります。
ちょっと頭をひねり、ちょっと労力を掛ければいくらでもやるべき事は見つかると思います。
あなたがこの話を聞いて何か感じたものがあるのであれば、今回をきっかけにして何かを初めてみてください。
その切り口は「人柄」×「接触回数」です。
■インタビュー企業
社名:COMULINK
住所:愛知県名古屋市中区大須4-11-5 観音ビル5F
mail:tsutsumi@comulink.nagoya
URL:https://markelink.biz/

第66回のリアルトップセールスインタビューは不動産業界にお勤めの松岡さんです。
今回、ご紹介する松岡さんの仕事内容は賃貸物件の斡旋です。
店舗に来店されるお客様のご要望をお伺いし、条件に合う物件を探してご提供していく不動産の仲介業です。
今回は訳あって会社名は明かせませんが、営業担当者が120~130名程在籍している企業で松岡さんは入社当初から高い業績を上げています。
その実績は、2年目にいきなり売上2位!そしてその翌年も2位!そして今期はまだ期の途中ではありますが、現時点で1位!!!なのです。
また、当社では3年連続でトップ3に入った営業担当者は過去におらず、今回ベスト3に入れば当社では唯一の存在になるのです。
そして驚くべきは、その成約率の高さ。
成約率はなんと驚異の75%!
来店型の営業スタイルでは、この成約率の高さが売上に直結します。いわば、成約率が成績上位に食い込むための大きな要素になります。
(ちなみに、成約率70%を超える営業担当者は社内では上位10名のみ)
では、この成約率の高さをどのように確保しているのでしょうか?
その秘密を探ってくるべくインタビューを実施してきましたのでご覧ください!!
■多くの営業マンの失敗
この成約率の高さを維持している要因を探るべく、まずは他の営業マンとの違いをお伺いしてきました。
水田「松岡さんと他の営業マンの違う点といえば、どういった点にあると思いますか?」
松岡氏「後輩などを見ていてよく思うのが、お客様の不安、不満、不都合を解消しないまま、話を終えていることが多いと思います」
松岡氏「お客様の不安、不満を解消しないまま、一旦申し込みを頂いたとしても契約の段階で流れることも多く、不安や不満を残さないことが営業マンに求められます」
水田「そうですか。でもお客様ってなかなか本音を語ってくれないと思いますが、何か本音を聞き出す方法ってあるんですか?」
松岡氏「そうですね。お客様は不満を感じていても口に出さない場合がありますし、あともう一つ気をつけなければならない点は、イメージがあいまいなままで条件を提示されるお客様が多いことです」
水田「イメージがあいまい?」
松岡氏「はい、条件として提示した内容にそこまで深い意味がなかったり、イメージだけで口にしていたり。例えば広い部屋が良いというご希望が『3LDK』という言葉になるみたいなイメージですかね」
水田「なるほど、では松岡さんはどうやってお客様の本音を聞き出しているのですか?」
松岡氏「う~ん、そうですね。こんな感じですかね」
■相手の本音を探る質問話法
松岡氏「まず、私がお客様から条件をお聞きするにあたって『お客様が口にする条件に全てあう物件などほとんどない』という大前提があります」
松岡氏「表面上の条件を拾って、物件を探してもほとんどご提供できるものがないのです」
水田「そうですよね。物件は限られていますから」
松岡氏「はい、であれば妥協できるポイントはないのか、今、口にしているニーズは本当に必要なのかを質問していきます」
水田「具体的にはどんな感じですか?」
松岡氏「例えば、築3年以内というニーズがあれば築年数は経っているがリノベーションしていたらどうなのか、とか、3LDKを希望されているお客様であれば広い2LDKでは検討の範囲外なのか、などです」
水田「あえて、別条件を提示する訳ですか?」
松岡氏「はい、そうです。お客様が口にした条件とはあえて違う条件を提示してみます。違う条件を提示すると徐々にお客様の本当のニーズが見えてくるのです」
水田「なるほど、あえて別条件を提示する。おもしろいですね」
松岡氏「あえて別の条件を提示することによってお客様の本当のニーズが聞けるだけでなく、お客様のあいまいなイメージが徐々に具体的になっていきます。そしてイメージが具体的になっていくことによって条件の優先順位も確認しやすくなっていくんです」
水田「へ~、なるほど!」
・・・・
・・・・
お話を聞いていたこの瞬間には気づかなかったのですが、後々、考えるとこのヒアリング方法は営業マンとして理想的だと言えます。
あえて違う条件を提示するという事は、相手が思いついていなかったことを教育することになります。
例えば、先程の築3年の物件に住みたいというのは、本心はきれいな家に住みたい。
そのきれいな家に住みたいという欲求を満たすためには、新築ではなくリノベーション物件という選択肢もあることを教育している。
お客様側からすると、その違った視点(専門的な視点)を教育されることで営業マンを専門家として認識します。
専門家として認識されれば「権威」の心理効果により、商談の主導権を握ることができる。
また、その教育するという方法を質問形式で事前に行っていることも秀逸です。
例えば、ヒアリングしている時は築3年以内と聞いていたあとに、物件を紹介する段階で、
「リノベーション物件でしたら新築ではないですが、新築と変わらないのでこちらでいかがですか?」
と言われても説得された感が否めません。
これでは意思決定に迷いが生じます。
しかし、事前にヒアリングの段階でリノベーション物件という選択肢があることを提示し、選択してもらう姿勢を取ることで、説得された感が全くなく、専門家というイメージだけを残すことができるのです。
今、思い起こすとシンプルでありながら恐ろしい手法です。
というか、これだけの効果を発揮させて、かつ、ここまでシンプルな方法があったでしょうか?
■このヒアリング方法が確立した背景
なぜ、松岡さんはこのようなヒアリングをするようになったのでしょうか?
その背景を確認するとおもしろいお話が聞けました。
松岡さんは入社1年目に新入社員として配属になった店舗の店長が、このヒアリングスタイルにすることに大きな影響を与えてくれたとおっしゃっていました。
その店長というのは、当時1位の営業マン。
商談に同席すると、当初お客様が発していた条件とは違った条件にも関わらず、お客様は契約している。
そんな姿を見て営業を学んだそうです。
そしてその店長が鬼のように厳しい店長だったそうで、松岡さんがお客様との条件交渉がうまくいかず、その報告を店長にすると、
店長「●●は聞いたのか?▲▲の条件ではダメなのか?・・・・・・?」
と質問攻め。

そして聞けていないことに対しては「もう一度聞いてこい!」という指示が・・・
一旦、交渉を終えたお客様に改めて聞き直すと、非常に気まずい雰囲気になります。
その気まずい雰囲気を味わう事を嫌い、店長の鬼の質問を掻い潜っている間に、このヒアリングスタイルを身につけたというのです。
ケガの功名?いやいや素晴らしい教育を受けられたのだと思います!
そんな苦労を積み重ねて得たノウハウにも関わらず、このリアルトップセールスインタビューでご提供いただき本当にありがとうございます!
■水田チェック
今回の違う条件をあえて提示するという方法は、シンプルでありながら強力な方法だと思います。
本文にも記載しましたが改めて効果を整理すると
1)本音を聞き出すことができる
2)お客様のイメージを具体化させることができる
3)条件の優先順位が分かる
4)権威の心理効果
5)説得された印象を与えない
などです。
そして、この方法を活用することで得られる効果はもう一つあります。

それはお客様に与える「安心感」です。
例えば、お医者さんに症状を、口頭で2,3確認されただけで風邪と断定されるより、聴診器、触診、喉の状態を見られた後で風邪と診断された方が安心できます。
あらゆる可能性を確認された上で、出てきた答えの方が同じ答えであったとしても安心できるのです。
松岡さんの違った条件を提示し、漏れなく確認する作業は、まさにこの作業そのもの。
漏れなく確認してくれている姿勢がお客様に安心を呼び、そしてその安心感が高い成約率へと導いているのではないかと思います。

第65回のリアルトップセールスインタビューはファミリアホームサービス(株)の田中さんです。
田中さんはファミリアグループのグループ企業であるファミリアホームサービスで住宅販売を行っています。
ファミリアホームサービスには営業担当者は12名おり、その中で2年連続1位!
そして個人の実績だけでなく店長としての実績も飛び抜けて素晴らしい実績をお持ちです。
ファミリアホームサービスは全国に販売網を持つハウスドゥの代理店です。
ハウスドゥの代理店は全国に420店舗。
その代理店の中で、仲介手数料売上が全国3位!そして契約件数5位!
中でも仲介手数料については1位とわずか27万円の僅差だという事なのです。
いわゆる個人でも実績を上げながらも、部下を育成して店舗で上位に引き上げているプレイングマネージャーなのです。
そんな素晴らしい実績を上げている田中さんに、「他にも、他の担当者と違う実績をお持ちですか?」と尋ねると耳を疑うような実績が、、、、
田中氏「そうですね。私の商談はほとんどが即決です。出会って1~2回で結論が出ます。あと、この前、会社のデータで分析してみたら成約率70%でしたね」
水田「はい?即決な上に、成約率70%?何ですか?その数字は・・・」
あまりにもの驚愕の数字。
早速、その背景を確認するためにインタビューに入りました。
■お客様が口に出しにくい不安とは
水田「一体、どのようなノウハウをお持ちなのか、早速聞かせてください。まず、いつもどんな点に気をつけられていますか?」
田中氏「そうですね。いつもお客様に家を買う事を目的としてはいけないと伝えています。家を買うこと自体がゴールとなるのではなく、買った後に本当に良かったと思えるか。ここが重要です」
水田「なるほど」
田中氏「お客様が買った後に、後悔するポイントは2つ。1つは住み心地、そしてもう一つはお金のこと」
田中氏「そして最も重要なのはお金のことです。住み心地に関しては、ある程度、物件を見に行けば分かりますが、お金のことについては実態を理解せずに住宅ローンを組む人が多くいます」
水田「じゃあ、まずローンの話をするという事ですか?」
田中氏「そうです。良くある勘違いが『銀行から借りられる金額』=『借り手側が返せる金額』という認識です。そして多くの不動産会社が、この件についてあまり詳しくは伝えていないようです」
水田「確かに、私が家を買う時もあまり詳しくは教えてもらってないですね。じゃあどのような話をするのですか?」
田中氏「ローンを借りる場合は、2通りの借り方があります。それが金利の方式ですが、変動なのか固定なのか。そして変動か固定かを選択するために必要なのが今後の金利予測。金利が上がりそうであれば固定が良いですし、下がる傾向になるのであれば変動がお勧め。その判断材料となる資料を渡して検討してもらいます」
水田「へ~、そうなんですね」
田中氏「あと、基準金利と適用金利の違い。こういった点もお客様はあまりご存じないので、しっかりお伝えします」
水田「お金のことをしっかり話してくれると、本当に頼りになる印象を受けますね」
田中氏「お客様もそこまで口には出しませんが、一番不安な部分。そこをまず解消してあげる事が大事ですね」
■お客様の決断を促すパラダイムシフト
水田「他にはどのような事を行っていますか?」
田中氏「あとは、物事の『表裏』を常に考えるようにしています」
水田「表裏ですか?」
田中氏「家というのは全てにおいて満足のいくものというものはありません。ほとんどの人に予算があり、その予算内で収めようとすると必ず妥協しなければならない点が出てきます」
水田「それはそうですよね」
田中氏「ただ、不満の1つも見方を変えると許せる範囲になったりします。例えば、家の方角。多くの場合、北向きよりも南向きが好まれますが、北向きは北向きでメリットがちゃんとあります。例えば、柔らかく安定した光が差し込みますし、夏は涼しく過ごせるというメリットがあります」
水田「確かにそうですね」

田中氏「物事には全て『表裏』があり、常にメリットとデメリットを考えるようにしています。例えば、道が狭いことでのメリット・デメリットとか」
田中氏「部下にも物件を見に行く時に必ずこう指示しています。見に行く物件の良い点、悪い点を10個ずつ見つけてきて、と」
水田「そういった指導を」
田中氏「はい、そうです。常にメリット・デメリットを考えておくことで、お客様が物件を買うかどうか悩んでいる時に、後押しができるようになるのです」
■お客様が本当に見ているポイント
水田「あと、他にも何か気をつけていることがありますか?」
田中氏「そうですね~。これはよく部下に言っていることなんですが・・・」
水田「何ですか?」
田中氏「お客様から嫌われることを全て排除しろ!とよく言っています」
水田「具体的には、どんなことですか?」
田中氏「例えば、タバコのにおいをさせる、態度が悪い、スーツにホコリがついている、靴が汚い、話し方が気持ち悪いとか」
水田「なぜ、嫌われることを排除するという考えを持たれたのですか?」
田中氏「お客様は、出会う前に営業マンを100点満点だと期待して待っています。そして基本的には減点方式で減点されていき、最後0点になれば失注です」
水田「はい、なるほど」
田中氏「結局、そこで積み重ねた不満はいつか不安に変換され、そして家を買うという意思決定を遠ざけてしまうのです」
水田「なぜ、そのような考え方を持たれたのですか?」
田中氏「以前、お世話になっていた不動産会社の社長からこんな事を教わったのです。『不動産は人から買う』と」
水田「どういう事ですか?」
田中氏「不動産は物件を見て購入を判断していると思われがちですが、実は営業マンを見て決めている人が多いです。それが意識的か無意識かは別として」
田中氏「住宅販売の場合、『営業マンの質』=『家の価値』と評価されるので、自分自身を厳しい目線で見ていかなければならないのです」
水田「なるほど、そこまで徹底されているんですね。恐れ入ります!」
■水田チェック
田中さんの高い実績を上げている要因としては、営業活動を『減点方式』として考えている点にあると思います。
最初にお金の話をすることや、メリット・デメリットを準備しておく行動も全てはお客様からの減点を避ける行為だと思います。
お客様の視線を常に意識するからこそ高いパフォーマンスを上げる。
心理学の世界では『見物効果』と言われている効果かと思います。

かの有名なホーソン実験でも立証されているように、人は「見られている」という事を意識することによってパフォーマンスが上がります。
(逆に作用することも有りますが)
営業の質=家の価値と考えることで、見られているという意識を高め、見物効果によって高いパフォーマンスを発揮しているのではないかと思います。
それにしても成約率70%!本当にすごい方にお会いしました!
本当にラッキーです!
田中さん、ノウハウをご提供いただき本当にありがとうございました!
■インタビュー企業
社名:ファミリアグループ
住所:名古屋市中区錦1丁目3番18号 エターナル北山ビル7F
TEL:052-228-7583
URL:http://www.touki.bz/

第64回のリアルトップセールスインタビューはシロカ(株)の鸙野(ひばりの)さんです。
鸙野さんお勤めのシロカ(株)はキッチン家電及び関連品の開発卸を行っています。
中国にある関連会社の工場でオリジナル製品を製造し、国内の家電量販店や雑貨屋、ホームセンターなどに販売しています。
当社は海外の製品を日本向けにカスタマイズする商品企画力や、広告を使用しないことや商社を通さないことで良い製品をお求めやすい価格で販売できることに強みを持っています。
鸙野さんは現在25歳で当社に入社して3年目なのですが、入社1年目からトップスピードで業績を上げています。
目標達成できるのが社員の中で1/3程度という目標設定を行っている当社で1年目から目標達成。
2年目の目標達成率はなんと『138%』を達成し、2年目にして社内“NO.1“を獲得したのです。
では、家電量販店やホームセンターのバイヤーに対して、どのような営業を行っているのでしょうか?
その秘密を探ってきました。
■バイヤーが求めている情報とは
水田「鸙野さん、営業で成果を上げるためにいつもどのような点を意識されていますか?」
鸙野氏「私はいつもバイヤーよりも情報を持っていたいと思っています」
水田「なぜ、バイヤーよりも情報を持っていたいと思うのですか」
鸙野氏「バイヤーはいつもネタを求めています。情報を持っている営業マンはバイヤーから求められますが、情報を持っていない営業マンはバイヤーから相手にされません」
水田「なるほど、ではどのような情報をバイヤーは求めていますか?」
鸙野氏「当然、売れそうな商品の情報を常に求めています」
水田「その売れそうな商品ですが、どのように情報提供しているのですか?」
鸙野氏「提供する情報は2種類あって、1つは新商品のトレンド情報、そしてもう一つは成功事例です・・・」
■新商品情報が集まる驚くべき情報収集術
鸙野氏「まず、新商品の情報という点からお話しします。バイヤーというのは常に未来の情報を欲しています。常にトレンドを知りたいと思っているのです」
水田「なるほどそうですよね。常に最先端の情報をつかんで売れる商品を投入したいと思っているはずですよね」

鸙野氏「はい、そうです」
水田「では、どうやって最先端の情報を鸙野さんはつかんでいるのですか?」
鸙野氏「実は、なんだかんだ言って、その情報をいち早くつかんでいるのはバイヤー自身なんです」
水田「??? じゃあ、どうするのですか?」
鸙野氏「色々なバイヤーから最新情報を引っ張ってストックし、他の商談の情報源泉として活用するのです。ただ、バイヤーも『教えて下さい』と言って簡単に教えてくれるものではありません。情報を提供(共有)するに値する営業マンと認識してもらうのが必要なのです」
水田「それってどうするのですか?」
鸙野氏「まずやることはITメディアや家電ウォッチなどのWEB情報から毎日、10社以上の競合製品の新商品をチェックします。これは毎朝の通勤電車で日課のように行っています」
水田「なるほど」
鸙野氏「ただ、こういった情報は既にバイヤーも知っているためバイヤーへの有益な情報にはなりません」
水田「じゃあ、あまり意味がないんじゃないですか?」
鸙野氏「意味がないことはありません。こういった情報に常にアンテナを張って雑談ネタにすることで、相手が同じレベル感、スピード感で情報を取っていると感じてもらえるのです」
水田「そうなると、どうなるのですか?」
鸙野氏「同じレベル感、同じスピード感で情報を取っていると感じてもらえれば、今後 有益な情報を提供してくれるのでは?と認識してもらえます」
水田「ほう!」
鸙野氏「そうなると、相手が持っているメーカー情報を話してもらえやすくなるのです」
水田「なるほど、相手に感度の高い営業だと認識してもらうことで情報が集まってくるという事ですね。そして集まった情報を展開することで更に情報が集まるサイクルになる訳ですか!」
鸙野氏「そうなんです。だから私は欠かさずにまずはWEBから競合メーカーの新商品情報を毎日収集しているのです」
水田「じゃあもう一つの成功事例というのは、どのように提供されているのですか?」
■社内でNo.1の情報通になるための情報収集術
鸙野氏「成功事例というのは、他部署から収集してきます。うちの会社には小売店に販売する事業部だけでなく、通販会社やギフト店に販売している事業部もあります。そちらの事業部で目立った売上を上げた企業を担当している他の営業マンに成功事例を聞くのです」
水田「その成功事例を小売店に伝えても、通販業界だからうまくいってるんじゃないの?とかバイヤーに言われないですか?」
鸙野氏「そうですね。そう言われないようになぜ売れたのかを自分なりに分析していくのです。そしてその売れている商品を少しコンパクトにしてみたり、価格を安価に抑えるなどの変化を付け、+αの提案するのです」
水田「しかしそれでも信用しないってことはないですか?」
鸙野氏「確かに信用しないこともあるかもしれませんが、何の裏付けもない商品を提案されるよりは余程マシだと思います。売れる根拠が全くないよりも多少、仮説であっても根拠があった方がバイヤーも安心でしょう」
水田「確かにそうですね。じゃあその成功事例を収集するために何か工夫されていることはありますか?」
鸙野氏「そうですね~、う~ん、周りの人から情報を貰う以上に私から情報を発信していますかね」

水田「といいますと?」
鸙野氏「何か役に立つ現場情報を拾うことができれば、別に頼まれていなくても周りの人に情報提供するようにしています」
水田「へ~、すごいですね」
鸙野氏「情報は鮮度が命です。インプットしたらすぐにアウトプットするように習慣づけているのです」
水田「ちょっと面倒くさいことだと思いますが、よく続けられますね」
鸙野氏「昔、尊敬している先輩がやっていたことなんです」
水田「その人ってトップセールスですか?」
鸙野氏「はい、私の師匠みたいな方でその人がいつもやっていたことをマネているんです」
水田「へ~~」
鸙野氏「面倒なことなんですが、情報を発信することで周りから『具体的な証拠がないとその情報は役に立たないよ』とかフィードバックを貰えるのでどうやって情報を収集すべきかが分かるようになってくるメリットがあります」
鸙野氏「それに情報を発信すればするほど、周りから情報を貰えるようになるので、結果的に情報発信することが情報通になるために必要なんです」
水田「おおおおおーーーー」
今回のインタビューは情報を得るための本当に価値の高いノウハウを公開していただきました。
「最先端の情報を集めている人」に最先端の情報が入ること。
「情報を発信する人」に情報が集まってくること。
求める姿勢が情報を呼び、その情報を発信することで更に深い情報が集まるサイクルになる。
情報というものを武器にしているコンサルタントという職業ではこのノウハウはよく理解ができます。
そして情報を武器にしなければならないコモディティ商品(どこでも買える商品)を取り扱っている企業や営業マンは今回のインタビューで大きな突破口を手に入れたのではないでしょうか。
タイトルを付けるとすれば、「情報力で他社に打ち勝つ!究極の情報収集術」
本当にこのノウハウを無料で提供しても良いのかな?と若干私は思っています・・・
■水田チェック
今日のノウハウについてはもうあまり解説する部分はないと思います。
あと、付け足していえるとすれば情報というのは発信するというプロセスを得ることで、頭の中が整理されより深い理解を得ることができます。
理解を更に深めることにより、より深い見解を述べることができるようになります。
そして深い見解を述べることにより、その情報に吸い寄せられるようにより見識のある方が集まり、また深い情報を得ることができるようになるのです。
あなたが何かの専門性を得たいとお考えであれば、まずはその情報を欲している姿勢を周りに見せてください。
そしてその情報を自分の中にだけに留めずに、是非周りの方に発信してみてください。
その情報を発信することで情報の好循環サイクルが回り、いつの間にか専門家になっていると思います。
■インタビュー企業
社名:シロカ株式会社
住所:東京都千代田区神田神保町2丁目4番地
TEL:03-3234-5490
URL:http://www.siroca.co.jp/

第63回のリアルトップセールスインタビューは(株)ラネットの矢口さんです。
矢口さんお勤めの(株)ラネットは携帯電話の販売及びそれに付帯するサービスの提供を中核とした企業です。
その中でも矢口さんは法人営業を担当されており、従業員100名未満の企業の開拓を行っている方です。
現在は入社して6年目ではありますが、これまでの営業実績は非常に輝かしいものです。
入社してたった2か月で携帯ショップの店長に抜擢。
そして3年間の店長を経験した後に営業に転籍。
そして営業に転籍した1年目の実績は、なんと1年目で1400台の携帯を販売し、新人の中でトップを獲得。
そして営業2年目についてはKDDIの販売代理店としてKMO賞を受賞。
※KMO賞・・・K→KDDI、M→まとめて、O→オフィスの略
KMO賞とは「販売実績」「クラウドサービス(携帯以外)」「スマートデバイス」の3つの部門で、ある一定の実績基準を満たした優秀な営業マンにのみ授与されるもので(株)ラネットの営業マンの中で唯一の受賞者となったのです。
本日は営業に転籍してすぐにトップセールス街道を走り続けている矢口さんにインタビューしてきましたので、ご覧ください。
■工数に着眼した営業法
本日も私 水田よりいつものアプローチを行ってきました。
水田「矢口さんが『いつも』意識されていることや『習慣』にしていることは何ですか?」
私はいつもこの質問をすることにこだわっています。
というのもトップセールスが売れている本当の要因は、突飛な伝説話にあるのではなく、『いつも』やっていることや『習慣』にしている所にあると思っているからです。
そして本日も同じ質問を矢口さんにすると、こんな回答がありました。
矢口氏「私は『工数』をいかにかけないかという点はいつも意識していますね」
水田「工数ですか?具体的におっしゃいますと?」
矢口氏「例えば、商談でもあまり雑談はしません。それよりも単刀直入に何か困っていることはないか、という事をよくお聞きしています」
水田「なるほど、お客様の困りごとを聞くのですね。ちなみに普通の営業担当者だとどのような営業をしていますか?」
矢口氏「おそらく、どのような携帯を使っているかを聞き込み、コストダウンの提案をしていると思います」
水田「なる程、コストダウン提案だと話が早そうですね」
矢口氏「いえ、私は『何か困っていることはありませんか?』と聞いた方が結局は話が早くなると思っています」
■なぜ、困っていることを聞いた方が早いのか
矢口さんは、見込み客を熱心に追いかける基準として
「何がしたいかがはっきりしているか」
に着目しています。
矢口さん曰く、課題が見えていない人は商談にかなりの時間を割かれる傾向があり、課題が見えていたり、何がしたいという事がはっきりしている人は話が早いという経験則を持っているのです。
そしてそれを見極めるための言葉が「何か困っていることはありませんか?」という言葉です。
この言葉の反応で商談が早く進むか否かを見極めているのです。
しかし、「何か困ったことはありませんか?」という問いだけでは相手が問題を発想できない時もあります。
そういった時は問題を思い出してもらうために発想を促す質問を繰り返します。
営業担当者が携帯電話を電話用でしか使っていないという先には、
・営業担当者が資料を持ち歩くのは大変ではないか?
・社内の報告に電話だけでは不便ではないか?
・隙間時間で企業情報を確認するか、しないかで商談の質は変わらないか?
・外出中に分からないことが起きたら調べる手段がないと不便ではないか?
・社用携帯が使いづらく個人携帯を仕事に使った場合にセキュリティ上の問題は発生しないか?
などイメージを湧かせるような話をして問題や課題を思い出してもらうのです。
そして問題や課題、やりたいことなどが明確になればそれに最もマッチしたサービスを提案します。
コストダウンなどこちらがやれることを先に提案した場合、相手が興味を持ってくれる可能性は高いのですが、結局、商談が進んだ時点で本当にやりたい事とのアンマッチが発生し失注することが多いです。
相手に興味を持ってもらう事を優先するよりも、相手がどんな課題を持ち、何をしたいかを明確にさせた上で商談を進めた方がアンマッチを生む可能性は少なくなります。
そしてアンマッチな商談が減ることで、成約できる商談にだけ時間を割くことができるようになり、結局は効率が良いという事なのです。
■なぜこのような営業スタイルになったのか?
このようにできる事よりも相手の課題ややりたいことを先に聞くスタイルはショップの店長時代に築きあげたとのことでした。
携帯ショップでは1日に何人ものお客様が来店し、そのお客様を効率よく回転させていかなければ店の評判にも関わってしまいます。
そこで気づいたのが、携帯の機種変更に来たお客様に、機種の良さやプランのメリットを先行して話をしてしまうと、色々と顧客を悩ませる結果になり成約まで時間がかかるという事実なのです。
そこで工数にいつも意識が向いている矢口さんは、どのような話の進め方を行えば話が短くなるのかを考えたのです。
そこで出てきた答えが、機種やプランの事を解説するのではなく、まずお客様が何をしたいのかを確認し、その後に最適なプランを提案する手法に変え、商談の短縮化に成功させたのです。
この時の成功体験が営業でも活きており、「何ができるか(営業軸)」ではなく「何がしたいか(顧客軸)」に着目することにより「工数」を掛けない営業を実現させることができるのです。
■水田チェック
今回、結局のところプロダクトアウトなのかマーケットインでの営業なのかに話は集約されると思っています。
しかしながら、本当に着眼すべき点は矢口さんの課題や問題を発想させる質問です。
この記事上ではさらっと書きましたので、あまりその凄さは伝わっていませんが、顧客の問題や課題を示唆して思い出させるという営業方法は非常に難しい技術だと思っています。
そして、この課題や問題を提起する上で必要となってくるのが商品知識です。
商品の多彩な機能をよく把握することで、商品ができることから逆算して初めて課題や問題を発想させる質問ができるのです。
そこで私が気になったのが、その商品知識をどのように身に付けたのかです。
この商品知識の身に付け方が分かれば多くの営業担当者もマネをすることができるのではないかと思い、私はその情報ソースを探ったのです。
そうすると思わず納得の回答にたどり着いたのです。
水田「矢口さんは他にも何か意識されていることはありますか?」
矢口氏「よくキャリアからキャンペーン企画がきますが、それにいち早く対応するようにしています」
水田「といいますと?」
矢口氏「多くの営業マンが新商品や新プランに対して分からないので積極的にやっていないという事がよくあります。それをあえていち早く取り組むようにしているのです」
水田「なぜですか?」
矢口氏「一番早くに覚えると、周りから教えてくれという要望がきます。その要望に応えて教えると実は一番自分が理解できるのです」
『アウトプットしている人が実は一番のインプットになっている』
こんな話をあなたも良く聞くことがあると思います。
そうです。最も早く新商品の知識を身に付けることで周りの教育役になります。
そして教えるという事は相手のタメでもありますが、実は一番タメになっているのは自分自身。
教えることによって一番の商品知識を身に付ける。
このサイクルがあるから矢口さんは最も商品知識に長けており、そして得られた商品知識から逆算してお客様の課題や問題を拾うことができるのです。
『キャンペーンに真っ先に取り組む』
この取り組みを繰り返すことによりあなたがお客様に課題や問題を発想させることができるようになり、そして発想できた顧客を選別して優先的に営業すればおのずとトップセールスの道は訪れるのではないでしょうか。
■インタビュー企業
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