第57回リアルトップセールスインタビュー

上村さん

第57回のリアルトップセールスインタビューは(株)ミロク情報サービスの上村さんです。

当社は税理士事務所や会計士事務所、またその顧問先に対して業務用のアプリケーションソフトを開発・販売している企業です。

上村さんの直近の業績をご紹介するだけでも驚くべき実績であることは間違いありません。

当社は企業規模も大きく、営業社員(専任)は全国に600名いますが、その中で新規開拓の実績が25年度「全国2位」、26年度「全国4位」という実績です。

そして上村さんが所属している鹿児島支社では新規、売上の両方で「4年連続」「1位」の実績をたたき出しています。

また、直近だけでなく、入社して新人賞を取っている上に、これまで目標の未達成が一度もないというのです。

このような実績をたたき出している上村さんですが、実は他の営業よりも圧倒的に抜きん出ている能力があります

それは顧客からの紹介件数です。

この紹介件数は直接の顧客である税理士事務所や会計事務所の顧問先を紹介された件数であり、税理士事務所や会計事務所の先である顧問先も顧客対象としている当社にとっては非常に重要な中間指標です。

そのためこの紹介件数は中間成果として計測されているのですが、上村さんはその紹介件数においては全国『1位』なのです。

では紹介をもらうために、どのように活動をしているのでしょうか?

そのヒントは直接の顧客(税理士及び会計士)との関係性を築き方にありました。

■選択理論の心理学
水田「上村さんはお客様から顧問先を紹介してもらえる件数が非常に多いという実績がありますが、紹介をもらうために何か工夫をしていることはありますか?」

上村氏「そうですね。工夫していることというより今の営業スタイルがそうさせているのかもしれません」

水田「その営業スタイルというのはどういうものですか?」

上村氏「私は、未来のお客様のために【お役に立てることはないか】をいつも確認しています」

水田「それは商売とは関係ないことでもですか?」

上村氏「そうです。お客様が企業を成長させる上で、できることは何でもしています」

水田「でも、あまりお客様のために時間ばかりを割くと売上を上げるという意味では非効率になりませんか?」

上村氏「そんなことはありません。この営業スタイルに変えることによってまずクレームに関連する仕事が激減しました。それに利益率も高くなりましたし、以前に比べて案件化した後の商談回数も減っていますので、逆に効率よく売上は上がっています」

水田「なるほど、そうですか。では、なぜ今のような営業スタイルに変えられたのですか?」

と質問すると過去に苦しんだ背景を私に教えてくれました。

上村さんは当社に入社して1年目に新人賞を取る実績を残しました。

しかし、その当時の上村さんはいつも数字に追われている感覚をもっており、毎月毎月、翌月分の前倒し営業を行いながら目標を達成させていたようです。

目標は達成するものの、非常に苦しい毎日。

営業という職種が嫌になっていた時にあるセミナーに参加して、ある理論を学びました。

それが「選択理論心理学」というものです。

選択理論とは、アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサーが提唱した心理学であり、より良い人間関係を築くための心理学です。

基本的な概念には「他人をコントロールしようとせず、相手を受け入れ交渉を行う」というものがあります。

この基本的な概念から、自分が今苦しんでいるのはいつも「お客様をどうコントロールして自分の利益を上げるか」ばかりを考えていたことに原因があると気づいたのです。

この日から上村さんは営業スタイルを「お客様をどうコントロールして自分の利益を上げるか」から「お客様の利益のために自分がどう動くか」というスタイルに変えたのです。

この考え方に変えて営業を始めた瞬間に、今まで数字に追われて苦しんでいた感覚はなくなりました。

しかもこの営業スタイルに変えることにより、お客様から感謝されることが多くなり、逆に役に立てているという充実感から仕事をすることが楽しくなっていったのです。

これまでは業務アプリケーションソフトを販売するにあたり、リプレース提案ばかりをしてきました。

リプレースの提案ばかりだと「そろそろ新しいものにバージョンアップしませんか」というお願い営業ばかりになります。

この提案を続けるとお願いばかりになるため、お客様との関係性は悪くなり、立場もどんどん弱くなっていく一方でした。

しかし、お客様の成長のために何ができるかを考えて実践していると、相手との関係性は良くなり、立場は徐々に強くなっていったのです。

しかも、お客様の成長のことを考えれば、必然的に税理士や会計事務所の顧問先へどのようなサービスを提供するかという話になります。

そして顧問先にどのようなサービスを提供するかという話から多くのケース、提供しているアプリケーションソフトの話につながっていったのです。

しかし、上村さんの面白いところは、このノウハウだけに留まらない所です

■お役立ち営業が非効率にならない理由
先程の話を聞くと、よくあるトップセールスの話として聞いたことがあるかもしれません。

相手のために尽力する。

そして結果は後からついてくるという考え方です。

しかし、上村さんはその辺りのトップセールスとは違い、もう1つ深い話があるのです。

それを今からお話します。

お客様の役に立つことを実践していたとしても、そのお客様自体が商品を購入することはあるかもしれませんが、顧問先を紹介をしてくれるかどうかは、その顧客次第です。

そこで上村さんにすべての人にそのような営業方法を取っているのかと尋ねると、特に注力している顧客層があると話していただけました。

当然そうだと思います。

全ての顧客に対して仕事には直接的にはつながらない労力を全力で奉仕していては身が持ちません。

では、どのような基準で特にお役立ちスタイルで関係性を構築する先を選んでいるのでしょうか?

取引金額が大きいところか?

それともポテンシャル(顧問先数)が大きいところか?

それを上村さんに聞くと、取引金額やポテンシャルも大事であるが最も重要視している軸があるというのです。

その軸とはいったい何なのでしょうか?

それを尋ねるとこのような答えが返ってきました。

それは「成長意欲」という軸です。

事業に対して成長意欲が旺盛な企業に対して、お役立ち営業を如何なく発揮させるのです。

成長意欲の旺盛なところは現状維持を嫌うため、常に変化し続けようとしています。

変化し続けようと考えている企業は、問題意識が高く、情報へのアンテナも高く、そしてアグレッシブです。

そのような気質を持った企業は、上村さんのような社外の異質な提案に対しても受け入れやすいという特徴があります。

そして成長意欲が旺盛なところは周りへの情報発信力(求心力)があるため紹介につながる可能性が飛躍的に高いというのです。

なぜ、成長意欲の高いところが周りへの情報発信力(求心力)が高いのかというと、それを理解するのにイノベーター理論が役に立ちます。

イノベーター理論では、マーケットは大きく5つに分解されます。

いち早く新しいものを取り入れる「イノベーター層」

次に新しいものを取り入れる「アーリーアダプター層」

そしてその2つの層の動きを見て、その後に「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」が続いていきます。

イノベーター層やアーリーアダプター層のような革新者は、新しいことをいち早く取り入れ実践するため、先駆者として周りにアドバイスを求められたり、動向を注視されたりする傾向にあります。

このため周りへの影響力が大きく、いかにこのオピニオンリーダー層たちを取り込むかが、市場シェアを獲得していく上で重要な要素になるという考え方です。

上村さんはこのオピニオンリーダーになる可能性がある先に特に注力しているため、その後の拡散の程度が他の営業とは違っているのではないかと考えられます。

お客様のために全力を尽くす。

しかし、全力を尽くす先は情報発信力(求心力)のあるところ。

これが上村さんの営業ノウハウの秘訣なのです!

■水田チェック
今回はどのような顧客に紹介を促すと紹介が成功しやすくなるのかが理解できたような気がします。

イノベーターやアーリーアダプターは新しいものを誰よりも早く取り入れる特性から、先駆者として周りから相談を受けたり、アドバイスを求められたりすることが多いはずです。

ということは、新しいもの好きの方に対して紹介を促すような活動をしていると、周辺に対しては影響力を持っている可能性が高いため紹介が成功する確率が高いと考えられるのです。

上村さんのすごい所は関係性を構築していくリアルな部分では、自社のビジネスの部分は捨て純粋に尽くす。

しかし、ターゲットはしっかりビジネスを見据えた上で設定している所ではないでしょうか?

この方法は紹介をお願いする時に、誰にお願いすべきかという切り口で使って試してみようと思います。

■インタビュー企業
社名:株式会社ミロク情報サービス
住所:東京都新宿区四谷4-29-1
TEL:03-5361-6369
URL:http://www.mjs.co.jp/