第19回リアルトップセールスインタビュー

高石さん

第19回のリアルトップセールスインタビューは鍋清の高石さんです。

鍋清(株)は、創業136年の歴史を持つ老舗の産業機械部品商社です。ベアリングの販売を主力としている商社ですが、メーカー機能もあり、アルミ製の安全柵においては、設計・制作・設置までを一貫して行っている企業です。

そんな老舗企業の鍋清さんには、営業が40名ほどいます。

その40名いる営業の中で一際、抜きん出た業績をあげているのが高石さんなのです。

高石さんは、毎年、年間成績が優秀だった社員に授与される社長賞を過去に「3度も」獲得しています!

また、入社2年目で単月の売上達成率が200%となるような業績を樹立するなどしながら12年間の営業人生の中で、初年度とリーマンショックの影響が大きかった2009年以外はすべて与えられた予算を達成してきたとの事なのです!!

鍋清さんのお客さんは自動車関係や工作機械など、リーマンショックの影響をモロに受けた業界です。

そのため2009年は、あえなく予算未達成となりましたが、基本的には、超例外の天変地異が起こらないかぎり、必ず予算を達成する男なのです!!

そんな高石さんに営業の極意をお伺いしてきました。

■売るための秘訣とは?
いつものごとく「売るための秘訣は何ですか?」とお尋ねしたところ衝撃的な言葉が返ってきました。

それは、、、

「買ってくれとお客さんに言うこと」

だというのです。

「はい?」と耳を疑いました。

世間一般で紹介されている営業ノウハウは、どんな書籍を読んでも「売り込みはNG」です。

「売り込むから売れなくなる」ということを訴えかけているものが多い中、高石さんはまったくその真逆のことを話されたのです。

この言葉の真意を更に聞いていくとこんな言葉が返ってきました。

「最近は、はっきり買ってくれといえない営業が多くなってきています。中には、自分の知識を披露して、お客さんに感心してもらって満足して帰っていく営業もいます。我々は営業である以上、買ってもらうという目的を忘れてはならないと思います」

と話していたのです。

確かに、ここ最近、数々の営業同行をこなす中で私も思うところがあります。

それは、売り込むことが良くないという考えが広まる中で、「うちから買ってくれなくても良い」とか「お客さんの方でご判断いただければ良いです」ということをアピールしすぎている人が多くなっているように思えるのです。

お客さんから信頼を得る上で、このように話すのは良いとは思うのですが、あまりにも度が過ぎていて、逆に「この営業マンはやる気あるのかな?」と思えるぐらいひどい営業もいます。

正直、「お客様のことを最優先に考える」という言葉に隠れて、ただ単に「買ってくれ」ということを怖がっているだけのようにしか見えないのです。

高石さんの言葉は、正に「営業のミッションを忘れるな!」という生ぬるい営業への戒めの言葉であり、営業が「売る」ということに目を背けてはいけないことを訴えかける話であったように思えます。

そして、この率直に「買ってくれ」と話すことはお客を見極める上で大きな効果を得ることができると思います。

どの書籍で読んだのか記憶が定かではないですが、トップセールスと凡人営業の違いの中で、こんな言葉を残していた人がいました。

それは、

「凡人営業はお客に『イエス』を言わせることに専念するが、トップセールスはお客にできるだけ早く『ノー』といわせることに専念している」

という言葉です。

高石さんのように、率直に買ってくださいという話から入ると、本当に必要ないお客さんは、その理由を明確に答えてくれると思います。

しかし、単に営業されることに恐怖を感じているお客さんは明確な理由が答えられないと思うのです。

高石さんのように、買って欲しいことを最初に明確に伝えることで、顧客の見極めが早々にできるはずですし、早々に見極めができれば買う気のない無駄なお客さんに時間を使うことなく、営業活動ができるのではないかと思います。

■成果を上げるために心がけていることは?
成果を上げるために心がけていることは、

「予算達成しても力を緩めないこと」

だそうです。

営業のほとんどは目標であったり予算であったりノルマを達成することを会社から求められていると思います。

高石さんは会社から与えられた予算を達成しても営業スピードを緩めることなく、売れるだけ売ろうとしているとの事です。

普通の営業であれば、予算を達成していると「これ以上やる必要があるのですか?」といわんばかりの顔をしています。

そして、私自身も予算を達成していれば、そのような態度を取っていてもある意味良いと思っていたりもします。

しかし、高石さんに話を聞くと、その考えは間違っているというのです。

高石さん曰く

「もし、予算を達成しているからという理由でもう営業しなくて良いという理屈が成り立つのであれば、予算の達成率が50%になった時に給与が半分になっても文句は言えない」

というのです。

しかし、今の企業は予算の達成率がいくら悪くても、しっかりと給与を支払ってくれます。

会社は社員に対してしっかりと義務を果たしてくれているのなら、当然、営業側も義務を果たさなければならない、というのです。

会社が給与を支払うというのが義務であるのなら、営業は予算を達成させる義務があります。

そして、会社が社員にもっと多くの収入を得てもらいたいと思うのと同様に、営業も最低限の予算を達成させる仕事だけでなく、更に売上を上げることを考えなければならない、ということなのです。

「反論できません(汗)私の考えが間違っておりました」(水田)

■トップセールスになるにあたって何か転機となった出来事はありますか?
高石さんがトップセールスになるにあたっての転機は入社1年目にありました。

それは、入社1年目で営業のイロハも分からない時代に、営業のやり方を教えてもらった工場長との出会いにあります。

高石さんは当時、営業のやり方をまったく知らない入社1年目の新入社員だったのですが、そんな新人営業の高石さんに工場長はこのように営業して来いとアドバイスをしたのだそうです。

「お客さんの要望はすべてできると言って帰って来い」
と言われたのだそうです。

高石さんはこの言葉どおりに、お客さんの要望についてすべてできると返答し、その要望に答えるべく、工場長と一緒になって開発に当たったそうです。

「すべてできる」と返答した以上は必死に要望に応えるべく試行錯誤を繰り返さざるを得なくなりました。

しかし、顧客の要望を必死に実現しようと試行錯誤を繰り返したおかげで、2年目にはようやく実を結び、単月予算の倍の金額である1案件で3000万の受注を獲得し、単月の予算達成率200%を実現したのです。

この経験を通じて、顧客の要望に必死に対応するおもしろさを体験するのと同時に、自社の柔軟な対応力を実現させている一貫生産体制やコスト競争力を目の当たりにする事で、本当に自社のすばらしさを実感したとの事なのです。

これ以来、高石さんは自社の商品に圧倒的な自信を持つようになり、お客さんにも強く勧めていくことができるようになったのです。

また、このすばらしい自社の生産体制を維持するためには、外注化している他社よりも売上を多く積み上げる必要があることも理解したため、予算の達成如何に関わらず、売上の最大化を図るようになったとの事なのです。

■水田チェック
高石さんの営業力の源泉は「自社の商品は本当に良いものだ」と感じている点にあると思います。

「自社の商品が本当に良い」と感じることができれば、お客さんに勧めるときにも強くアピールすることができます。

自信なさげに商品を勧められるよりも自信をもって勧められた方が、当然お客さんにとっては安心できます。

商品を使用していない中で、お客さんに決断を促す要素として営業マンが果たす役割は大きいです。
そこで、「頼りになりそうか」「頼りなさそうか」では決断に大きな差を生みます。

お客さんは高石さんの自信を持って進めている姿に「頼りになりそう」と感じて、購入するという決断をしているのではないかと思えます。

これを読んでいて、「高石さんの取り扱っている商品・会社の仕組みは差別化があるものだからいいよね」と感じた方もいるかもしれませんが、おそらく商品が圧倒的な差別化要素を持っていたから高石さんが自信を持てた訳ではないと私は思っています。

工場で作っている人の思い、こだわりを、体験を通じて感じることができたので、商品の良さを他の人よりも実感できているからではないかと思います。

人は、「強いものについていきたい」という欲求があります。
リーダーシップを発揮する人、強い人物には魅力を感じるのです。

これと同様に、強い主張があること、強いこだわりを持っていることは、人に魅力を感じさせるものなのです。

皆さんも、あまり興味がなかった企業の商品について、ある日ふと見たテレビ番組で、その企業の商品開発秘話などを聞いた瞬間に、興味が湧き出し購入してしまったという経験はないでしょうか。

おそらく、高石さんは工場のこだわりを感じ、そのこだわりをお客さんに伝えることができているからこそ、トップセールスになっているのではないかと考えています。