第52回リアルトップセールスインタビュー

都築さん(愛知BK)③

 

第52回のリアルトップセールスインタビューは愛知銀行の都筑さんです。

今回のインタビューはこれまでで「初」の業界、銀行業界のトップセールスです!

都筑さんの担当業務は融資業務であり、地域の企業に対して運転資金や設備投資などの提案を行っています。

これまでの都筑さんの実績には目を惹くものがあり、その実績をご紹介すると、

個人実績では、
・頭取賞1回(430名中 上位3%が表彰対象)
・優秀賞1回(430名中 上位5%が表彰対象)

そして都筑さんが所属する支店については、総合業績表彰として「金賞」「銀賞」「敢闘賞」を多数受賞しており、その業績のけん引役となったのが都筑さんなのです。

このような数々の表彰を受けている都筑さんですが、融資の提案方法として「借換え」を得意としています。

「借換え」とは、現在メインバンクとなっている他行の銀行に変わってこちらがメインバンクになるという手法です。

いわゆるメインバンクの地位を奪取する営業です。

商品がお金であれ、有形・無形の商品であれ、顧客のメインを勝ち取ることは非常に難しいことです

メインというのは取引関係が深く、かなりの信頼を置いているのでメインになっている訳ですので、簡単に変更されるようなものではありません。

その簡単にできない代物を得意としている都筑さんに、なぜそのような芸当ができるのかを確認してきました!

 

■銀行業界のジレンマ
私も昔、金融業界で融資を担当していたということもあり、企業融資の難しい点はよく把握しています。

通常の営業であれば、企業の健全状態とニーズに相関関係はありません。

優良企業であろうと、危ない企業であろうと、ニーズは発生します。

しかし、融資というのは本来貸したい先である優良企業ほど、資金需要が発生することが少なく、どちらかというと資金繰りがうまくいっていない企業の方が、資金ニーズが発生しやすい特性があります。

とはいえ、危ないと思われる企業に融資することはできませんので、この「企業の健全性」と「資金ニーズ発生の可能性」が逆相関の関係にある中、どのように営業業績を上げていくかが課題です。

また、企業に資金需要が発生した場合、まず最初にメインバンクに相談を持ちかけている可能性が極めて高く、メイン以外に振ってくる案件と言えば、メインバンクが断ったであろう案件、いわゆる実現可能性が低い相談内容であることが多いのです。

要するに、ニーズがあるからといってすぐに契約とはならない、一筋縄ではいかない特性を持っているのです。

このような業界特有のジレンマがある中で、どのようにメインバンクの地位を奪取しているのでしょうか?

 

■メインバンクを獲得する営業術とは
都筑さんいわく融資業務のポイントは、顧客のニーズに沿う形で案件組成を行い、与信判断上問題ない案件としてまとめることが銀行営業の腕の見せ所とお話しされていました。

先程解説した通り、メインバンクでない限り、企業からの融資相談は実現の可能性が薄いものばかりです。

「融資に対して担保がない」
「企業体力から顧客が要望している金額は大きすぎる」
「今の与信状態からこれ以上は追加融資できない」
など・・・

そんな要望をそのまま審査に通しても、まず融資は下りないという内容ばかりです。

多くの銀行マンは、そのような内容に一律の回答しか行いません。

「やはり追加で担保がないと・・・」

「審査には話してみますが、この内容はまず難しいと思います・・・」

難しい案件に対してはほとんどこのような回答です。

しかし、都筑さんは一見無理と思える融資であったとしても「その可能性を徹底的に探るべき」というポリシーを持っています。

そのため誰もがやっている表面的な企業の業績や資金繰りの状態を聞くだけでなく、より正確に企業の実態を把握することを心がけているのです。

例えば、顧客のビジネス、業界の外部環境、決算書に記されている各科目の実態など。

その実態把握で得る情報収集の量は、電話帳1冊分にも匹敵するほどの量だといいます。

そこまで企業を徹底的に把握し、他の銀行員が発想もしなかったような方法で、(完全にではないにせよ)顧客の要望を形にしてしまうのです。

顧客からのややこしい依頼というのは、通常の営業マンであれば嫌がります。

なぜなら、時間をかけてモノにならなければ無駄になりますし、そうなる可能性が極めて高いからです。

そのため早めにできないと判断して、見極めるのも1つの方法だと思います。

しかし、どの企業も断りを入れてきたような内容を実現することができれば、圧倒的な信頼を獲得できるチャンスでもあるのです。

銀行業界の競争はメインバンクの地位を勝ち取れるか否かで取引の「額」は極端に変わってきます。

また、保全(貸金に対する担保)を優先的に取れるかどうかにも関わってきます。

都筑さんは、通常の営業マンが避けている案件を相談された時に、借換えのチャンスだと認識し、相談されたニーズを実現すべく行動するのです。

そして、そのあえて難案件に挑む姿勢がお客さんにメインバンクとの取引を止めて「あなたにお願いするよ」と言わせているのです。

 

■案件組成のスキルを身に付けたきっかけとは
しかし、いくら情報収集を徹底しているといっても他の銀行員がなかなか発想できないアイデアを、早々簡単に出せるものではありません。

そこで、都筑さんに案件組成を生み出すために何かやっているのかを確認しました。

そうすると、やはり他人にはできない案件組成の裏側には他の人とは違った努力があったのです。

まず、案件組成のアイデアをストックするために常日頃からやっていることは、できる営業マンの案件の内容を確認し、気になった案件組成があると、その営業マンに質問攻めにしてアイデアを盗み取ります。

そしてそれだけではありません。

都筑さんは自分が借換えを逆にされてしまったお客様には、徹底的に借換えをされてしまった理由、そしてその背景、どんなきっかけで他行に借り換えようと思ったのかなどを徹底的に聞きこむのです。

その理由を教えてもらえない時は「土下座してでも聞きこむ」と話していました。

恐ろしいばかりの執念です。

しかし、この借換えをされてしまった理由を意地でも聞きこむのには実はある過去の体験があったからなのです。

その経験とは、渉外担当となってまだ間もないころ担当していた大口顧客が某銀行に奪われるという体験をしたのです。

その時の金額は非常に大きく、1億円の融資先を他行に持っていかれてしまったのです。

1億円もの融資先を他行に奪われると、支店長が他の支店に飛ばされる程のインパクトがあり、相当大きな出来事でした。

その融資を何とか防衛するために顧客に、なぜ他行に移すのか、何がきっかけだったのか、他行がどんな提案をしたのかを聞きこみまくったのです。

結果的に、その顧客は帰ってきませんでしたが、その時の聞きこんだ内容、他行の案件組成のやり方を聞きだせたのはこの後、都筑さんにとって非常に大きな財産となったのです。

実は某銀行に大口客を奪われてしまったのですが、そこでやられた提案方法を別の新規で実践したところ、借換えに成功!

その金額はなんと3億円です。

これ以来、都筑さんは借換えの提案が楽しくなり、今でも借換えを行うために常日頃から案件組成のアイデアを様々なところから学び、そしてそのインプットの量が、案件組成の礎となっているのです。

 

■水田チェック
アウトプットの重要というのはよく巷に叫ばれています。

しかし、良質なアウトプットを生み出すには、大量のインプットが必要です。

アイデアという言葉を聞くと、何か非常に創造性の高いものと思いがちです。

何か得体のしれないところから突然アイデアが出てくるといった、神秘的なものを連想しがちですが、全く「無」から生み出されるアイデアというものはありません。

既知と既知が組み合わさってアイデアはできるものなのです。

アイデアを生み出すのはインプットの量。

そして一番良質なインプットは現場の生の声。

業績を上げている人間ほど、現場の生の声を豊富にストックしており、現場の声からアイデアを創出しているのです。

あなたも現場の生の声を聞いていると自負されているかもしれませんが、本当にそうでしょうか?

「なぜ、あなたの商品を買ったのか?」

「その時にどんなことに悩んでいたのか?」

「あなたの商品(業界)に対してどんな勘違いをしていたのか?」

「なぜ、数ある競合の中からあなたを選んだのか?」

受注してしまうと喜びのあまり、なかなかこのようなことを確認していないものです。

しかし、このような顧客の当時の悩みや思い込みをストックしておけば、その情報は必ず営業活動に大きな力を与えてくれるはずです。

 

■インタビュー企業
社名:株式会社愛知銀行
住所:愛知県名古屋市中区栄3-14-12
TEL:052-251-3211
URL:http://www.aichibank.co.jp/