週末の一行語録解説【10/3号】

■「こんな」と「どれ」という言葉には、先が気になってしまう魔力が秘められている

 先日、セミナーの受講者からこんな質問を受けました。

 

「うまい商品説明の方法って何かありませんか?」

 

営業をしている人であれば、うまくお客様に商品を提案するというのは常に気になるテーマだと思います。

 

そんな悩みを持っている営業マンに、是非試していただきたいのが、「こんな」トークです。

 

「こんな」トークとは一体どのようなトークかをご説明する上で、通常のトークと比較してみたいと思います。

 

【通常のトーク】

営業「今ご提案したいものがございまして、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

お客「はぁ」

 

営業「今、■▲保険という新商品が出まして、是非こちらの商品のご案内をさせていただきたいのです。この商品には特徴がございまして、1つは毎月のお支払いがお安くなるということと・・・・」

 

お客「分かりました、分かりました、一度検討しておきます」

 

このようなやり取りで終了してしまうケースは良くあると思います。

 

特にこのトークが悪いという訳ではないのですが、お客様が興味をひくレベルにまでは至っていません。

 

ここで興味をひいてもらうためにどのようにトークを設計すれば良いのかという点で、今回の一行語録は使えます。

 

【「こんな」トーク】

営業「今ご提案したいものがございまして、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

お客「はぁ」

 

営業「今、お客様に『こんな』間違いをしていないかということでアンケートをお伺いさせていただいています」

 

ここで『こんな』と言われると、「どんな?」という気持ちが湧き、先の内容を確認したくなります。

 

その後に、

 

・日用品で安いものがあれば、少し遠くても買いに出かける

・電気代の節約のためにこまめに電気を消している

・節電のため使わない家電製品のコンセントは抜くようにしている

・・・・・

 

のような内容を列挙してアンケートを取った後に、そんな大変なことをしなくてもご加入の保険を見直していただくだけで、何もせずに月々●●円の負担がなくなっているご家庭が多いことをご存知ですか?と続けていただくのです。

 

この方法は「巻き込み」という方法で、あなたのトークに積極的に参加させることで、知らないうちにあとに引けなくさせる方法です。

 

例えば、よく切れる包丁の実演販売で実際にお客様に切ってもらうなど、営業のプロセスに巻き込むことがそうです。

 

あなたの営業トークに少しでも参加させる、そうすればお客様はその商品に関心を寄せる結果となり、購入される確率も高くなるのです。

 

そして、その営業トークに参加させる方法として「こんな」や「どれ」という言葉を使うことが有効なのです。

 

 

2015年10月03日コラム


第57回リアルトップセールスインタビュー

上村さん

第57回のリアルトップセールスインタビューは(株)ミロク情報サービスの上村さんです。

当社は税理士事務所や会計士事務所、またその顧問先に対して業務用のアプリケーションソフトを開発・販売している企業です。

上村さんの直近の業績をご紹介するだけでも驚くべき実績であることは間違いありません。

当社は企業規模も大きく、営業社員(専任)は全国に600名いますが、その中で新規開拓の実績が25年度「全国2位」、26年度「全国4位」という実績です。

そして上村さんが所属している鹿児島支社では新規、売上の両方で「4年連続」「1位」の実績をたたき出しています。

また、直近だけでなく、入社して新人賞を取っている上に、これまで目標の未達成が一度もないというのです。

このような実績をたたき出している上村さんですが、実は他の営業よりも圧倒的に抜きん出ている能力があります

それは顧客からの紹介件数です。

この紹介件数は直接の顧客である税理士事務所や会計事務所の顧問先を紹介された件数であり、税理士事務所や会計事務所の先である顧問先も顧客対象としている当社にとっては非常に重要な中間指標です。

そのためこの紹介件数は中間成果として計測されているのですが、上村さんはその紹介件数においては全国『1位』なのです。

では紹介をもらうために、どのように活動をしているのでしょうか?

そのヒントは直接の顧客(税理士及び会計士)との関係性を築き方にありました。

■選択理論の心理学
水田「上村さんはお客様から顧問先を紹介してもらえる件数が非常に多いという実績がありますが、紹介をもらうために何か工夫をしていることはありますか?」

上村氏「そうですね。工夫していることというより今の営業スタイルがそうさせているのかもしれません」

水田「その営業スタイルというのはどういうものですか?」

上村氏「私は、未来のお客様のために【お役に立てることはないか】をいつも確認しています」

水田「それは商売とは関係ないことでもですか?」

上村氏「そうです。お客様が企業を成長させる上で、できることは何でもしています」

水田「でも、あまりお客様のために時間ばかりを割くと売上を上げるという意味では非効率になりませんか?」

上村氏「そんなことはありません。この営業スタイルに変えることによってまずクレームに関連する仕事が激減しました。それに利益率も高くなりましたし、以前に比べて案件化した後の商談回数も減っていますので、逆に効率よく売上は上がっています」

水田「なるほど、そうですか。では、なぜ今のような営業スタイルに変えられたのですか?」

と質問すると過去に苦しんだ背景を私に教えてくれました。

上村さんは当社に入社して1年目に新人賞を取る実績を残しました。

しかし、その当時の上村さんはいつも数字に追われている感覚をもっており、毎月毎月、翌月分の前倒し営業を行いながら目標を達成させていたようです。

目標は達成するものの、非常に苦しい毎日。

営業という職種が嫌になっていた時にあるセミナーに参加して、ある理論を学びました。

それが「選択理論心理学」というものです。

選択理論とは、アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサーが提唱した心理学であり、より良い人間関係を築くための心理学です。

基本的な概念には「他人をコントロールしようとせず、相手を受け入れ交渉を行う」というものがあります。

この基本的な概念から、自分が今苦しんでいるのはいつも「お客様をどうコントロールして自分の利益を上げるか」ばかりを考えていたことに原因があると気づいたのです。

この日から上村さんは営業スタイルを「お客様をどうコントロールして自分の利益を上げるか」から「お客様の利益のために自分がどう動くか」というスタイルに変えたのです。

この考え方に変えて営業を始めた瞬間に、今まで数字に追われて苦しんでいた感覚はなくなりました。

しかもこの営業スタイルに変えることにより、お客様から感謝されることが多くなり、逆に役に立てているという充実感から仕事をすることが楽しくなっていったのです。

これまでは業務アプリケーションソフトを販売するにあたり、リプレース提案ばかりをしてきました。

リプレースの提案ばかりだと「そろそろ新しいものにバージョンアップしませんか」というお願い営業ばかりになります。

この提案を続けるとお願いばかりになるため、お客様との関係性は悪くなり、立場もどんどん弱くなっていく一方でした。

しかし、お客様の成長のために何ができるかを考えて実践していると、相手との関係性は良くなり、立場は徐々に強くなっていったのです。

しかも、お客様の成長のことを考えれば、必然的に税理士や会計事務所の顧問先へどのようなサービスを提供するかという話になります。

そして顧問先にどのようなサービスを提供するかという話から多くのケース、提供しているアプリケーションソフトの話につながっていったのです。

しかし、上村さんの面白いところは、このノウハウだけに留まらない所です

■お役立ち営業が非効率にならない理由
先程の話を聞くと、よくあるトップセールスの話として聞いたことがあるかもしれません。

相手のために尽力する。

そして結果は後からついてくるという考え方です。

しかし、上村さんはその辺りのトップセールスとは違い、もう1つ深い話があるのです。

それを今からお話します。

お客様の役に立つことを実践していたとしても、そのお客様自体が商品を購入することはあるかもしれませんが、顧問先を紹介をしてくれるかどうかは、その顧客次第です。

そこで上村さんにすべての人にそのような営業方法を取っているのかと尋ねると、特に注力している顧客層があると話していただけました。

当然そうだと思います。

全ての顧客に対して仕事には直接的にはつながらない労力を全力で奉仕していては身が持ちません。

では、どのような基準で特にお役立ちスタイルで関係性を構築する先を選んでいるのでしょうか?

取引金額が大きいところか?

それともポテンシャル(顧問先数)が大きいところか?

それを上村さんに聞くと、取引金額やポテンシャルも大事であるが最も重要視している軸があるというのです。

その軸とはいったい何なのでしょうか?

それを尋ねるとこのような答えが返ってきました。

それは「成長意欲」という軸です。

事業に対して成長意欲が旺盛な企業に対して、お役立ち営業を如何なく発揮させるのです。

成長意欲の旺盛なところは現状維持を嫌うため、常に変化し続けようとしています。

変化し続けようと考えている企業は、問題意識が高く、情報へのアンテナも高く、そしてアグレッシブです。

そのような気質を持った企業は、上村さんのような社外の異質な提案に対しても受け入れやすいという特徴があります。

そして成長意欲が旺盛なところは周りへの情報発信力(求心力)があるため紹介につながる可能性が飛躍的に高いというのです。

なぜ、成長意欲の高いところが周りへの情報発信力(求心力)が高いのかというと、それを理解するのにイノベーター理論が役に立ちます。

イノベーター理論では、マーケットは大きく5つに分解されます。

いち早く新しいものを取り入れる「イノベーター層」

次に新しいものを取り入れる「アーリーアダプター層」

そしてその2つの層の動きを見て、その後に「アーリーマジョリティ」「レイトマジョリティ」「ラガード」が続いていきます。

イノベーター層やアーリーアダプター層のような革新者は、新しいことをいち早く取り入れ実践するため、先駆者として周りにアドバイスを求められたり、動向を注視されたりする傾向にあります。

このため周りへの影響力が大きく、いかにこのオピニオンリーダー層たちを取り込むかが、市場シェアを獲得していく上で重要な要素になるという考え方です。

上村さんはこのオピニオンリーダーになる可能性がある先に特に注力しているため、その後の拡散の程度が他の営業とは違っているのではないかと考えられます。

お客様のために全力を尽くす。

しかし、全力を尽くす先は情報発信力(求心力)のあるところ。

これが上村さんの営業ノウハウの秘訣なのです!

■水田チェック
今回はどのような顧客に紹介を促すと紹介が成功しやすくなるのかが理解できたような気がします。

イノベーターやアーリーアダプターは新しいものを誰よりも早く取り入れる特性から、先駆者として周りから相談を受けたり、アドバイスを求められたりすることが多いはずです。

ということは、新しいもの好きの方に対して紹介を促すような活動をしていると、周辺に対しては影響力を持っている可能性が高いため紹介が成功する確率が高いと考えられるのです。

上村さんのすごい所は関係性を構築していくリアルな部分では、自社のビジネスの部分は捨て純粋に尽くす。

しかし、ターゲットはしっかりビジネスを見据えた上で設定している所ではないでしょうか?

この方法は紹介をお願いする時に、誰にお願いすべきかという切り口で使って試してみようと思います。

■インタビュー企業
社名:株式会社ミロク情報サービス
住所:東京都新宿区四谷4-29-1
TEL:03-5361-6369
URL:http://www.mjs.co.jp/

週末の一行語録解説【9/26号】

■営業に向いている、向いていない、など関係ない。演じるか、演じないかだ

この名言は、第45回で紹介しましたヤンマーアグリジャパンの中川さんの名言です。

 

第45回のインタビューの中には、この件については全く書いていないのですが、過去のインタビュー資料を漁っている中で、このメモ(名言)を見つけ、思わず一行語録に掲載してみました。

 

このメモを見ながらインタビュー当時の瞬間を思い出していたのですが、この名言を聞いた瞬間、

 

「うぁ!まさにその通り」

 

と納得してしまった自分を思い出しました。

 

この名言の意図は、営業に向いている・向いていないと考えている人は結局、自分流で営業をしているということです。

 

自分流の営業が世の中に通用するのか。

 

それを試して、うまくいかなかった事実に対して言っているだけなのです。

 

しかし、トップセールスの思考はこれとは全く別物です。

 

向いている・向いていないなどは関係なく、どうすれば売れるのかを考え、売れるのであればそれが自分の好む行動でなくても、実践するということなのです。

 

つまり、行動が自分が好む・好まないは関係なく、お客様や結果にフォーカスされているのです。

 

誰しもが、いつも愛想よくするのは疲れます。

 

元々、話好きではなかったような人であれば、お客さんと話しているだけでも苦痛かもしれません。

 

しかし、疲れるからといってやらないという選択肢を取るのは単なる「わがまま」です。

 

ビジネスでやっている以上、その行為に対して対価を支払うお客様がいる以上、無理をして当たり前なのです。

 

一流のビジネスマンは、その時の気分に関係なく、演じてお客様を喜ばせる。

 

これを実践しているのです。

 

演じて喜ばせるというのは、当たり前のことですが、経験を積めば積むほど、このような考え方を忘れがちになります。

 

自分自身に焦点を当てるのではなく、焦点を当てるべきはお客様。

 

そしてお客様が喜んでくれたという指標となる結果に焦点を当てて、行動を常に見直す習慣が大切だと痛切に感じた瞬間でした。

 

2015年09月26日コラム


週末の一行語録解説【9/19号】

■直接の面談以外で接触する方法を考え、実践すると、飛躍的に成績が伸びる
マジカルナンバー7±2という言葉をご存知でしょうか?

このキーワードは、人の記憶容量に関するもので、人の記憶は概ね7チャンク(チャンク=情報の塊)のことを記憶できると言われています。

±2というのは人によっては記憶力の良し悪しがあるので、その分のブレを含んでの表示になっているのです。

この考え方を提唱したのは、ジョージミラーという心理学者なのですが、近年ではこの記憶容量についての更なる研究が進み、現在ではマジカルナンバー4±1が主流になっています。

なぜ、このような記憶容量についてのお話をしているのかというと、もしあなたがお客様の頭の中で5番目や6番目以降の存在になっているのであれば、お声が掛かることすらないからということを伝えたいからなのです。

では、どのようにしてお客様の脳内シェアを獲得していけば良いのでしょうか?

インパクトのある印象を与えるというのも1つかもしれませんが、お客様の記憶に残るようなインパクトを毎回与えられるような営業は、なかなか狙ってできるようなことではありません。

では、どうすれば良いのかというと、脳内シェアを獲得する上で最も効果的で簡単に実践できる方法として「単純接触効果」というものがあります。

「単純接触効果」とは、人は会えば会うほど興味関心が湧くという心理です。

単純にお客様との接点回数を競合よりも増やすことにより、お客様の脳内シェアを占有し、いざ依頼があった際に、1番にお声が掛かるようにしていくのです。

この単純接触効果というのは、訪問量を上げて接触を増やすというのが王道ですが、実は少しの工夫で訪問量を上げるだけでなく、接触を増やすことができるのです。

それが訪問前後の接触を考えることです。

1度の訪問でも、単にアポイントを取って行くだけであれば接触回数は2回です。

しかし、「アポを取る」→「訪問直前の確認を行う(tel)」→「訪問」→「訪問後のお礼メールを送付」すれば、1度の訪問で4回の接触を図ることができます。

単純接触効果は、接触している長さではなく、接触回数に比例して効果を発揮しますので、1度の接触で何度も接点を図ることを考えれば、競合と会っている回数が同じだとしても、あなたの方が先に呼ばれる可能性が高くなっていくということなのです。

※あと、facebookでお友達になっておくというのも有効な方法です。

2015年09月19日コラム営業


第56回リアルトップセールスインタビュー

高井社長

第56回のリアルトップセールスインタビューは(株)ヒトカラメディアの高井さんです。

(株)ヒトカラメディアはオフィスの移転コンサルを行っています。

その内容は物件仲介だけに留まらず、依頼主のありたい働き方からオフィスレイアウトや設備に至る総合的なオフィス空間を提案する企業です。

今回インタビューさせていただいた高井さんは当社を2年前に設立し、現在は10名以上の従業員を抱える企業に発展させているベンチャー企業の経営者です。

今期で3期目になる当社ですが、2年目の実績の作り方に非常に興味深いものがありました。

創業まもない企業ですと、顧客が少ないので新規顧客の開拓に必死になるのは当たり前だと思います。

まずは生計を安定させるために顧客獲得が必須です。

しかし、高井さんに「どのように顧客数を伸ばしてきたのか」とお伺いすると、非常に意外な一言を耳にしたのです。

高井氏「私は新規活動をそんなに積極的にはやっていません。ほとんどが紹介です。売上を見ても、およそ7割ぐらいが紹介での売上です」

金額にして7000万

当社の業界では1人あたり1500~2000万円の売上が平均と言われる中3倍以上の売上を紹介だけでたたき出しているのです。

だとすると企業で提供しているサービスが非常に特殊で他社にはないものだからなのかとも思ったのですが、その質問に高井さんの答えは「NO」でした。

同じサービスを提供できる企業はいくらでもあるとのこと。

では、いったいどのような方法を使って紹介だけで顧客を増やしているのでしょうか?

その謎をインタビューしてきました。

■大量の顧客接点を確保する発想
高井さんは新規開拓を、飛び込みやテレアポからは行いません。

とはいえ全く新規活動を行わずに、ただ問い合わせを待っているだけかというとそうではありません。

どのような新規活動を行っているかというと顧客一人ひとりに接点を取るのではなく「顧客が集まりそうな場所」に出向いているのです。

要は、セミナーやイベント、勉強会などです。

高井さんは社長という役職でもあるため新規開拓だけに時間を使うことはできません。

経営全般の業務をこなさなければならないのです。

経営全般の業務をこなす中、短時間で顧客との接点をとれる方法として、この「顧客が集まりそうな場所に行く」というのは非常に効率的な方法です。

しかも手当たり次第のセミナー、イベントや勉強会に参加している訳ではありません。

「自分たちの力をもっとも必要とする顧客」が集まりやすい場を選別して参加しているのです。

自分たちの力をもっとも必要する顧客とは以下の3つの視点で選別しています。

「強み」「弱み」「機会」です。

【強みとのマッチング】
当社は物件の仲介に留まらず、オフィスレイアウトやオフィス設備を提案する点に強みを持っています。

しかし、オフィスの空間に対して特にこだわりを持たない企業であると、この強みを活かすこともできません。

そこでまず選別の基準となるのが「オフィス空間と生産性の関係を理解している企業」になります。

その生産性を理解している企業として「IT企業」をターゲットとして設定しています。

【弱みを強みに転化】
当社は創業間もない企業です。信用という面では創業年数が若いということから商談が不利に運ぶケースもあると思います。

しかし、創業間もないことを弱みとして卑下するのではなく、その弱みを魅力的に感じてくれる企業はどこかという視点で考えています。

そこで出た仮説が「スタートアップ企業」なのです。

「類は友を呼ぶ」ということわざがありますが、人は共通項があると急に近しい関係に思えるという心理があります。

その心理から創業間もないスタートアップ企業であれば、置かれた環境が似ていることがうまく働き、逆に興味を持ってもらえる可能性が高くなるという考えなのです。

【機会の可能性】
最後は機会です。

いくら強みと合致していても弱みが補完できたとしても需要自体が発生しない企業であれば意味がありません。

そこで当然ですが「オフィス移転が発生する可能性がある」という視点でターゲッティングを行っています

「オフィス移転が発生する可能性がある」=「成長中もしくは成長意欲のある企業」

この視点はまさに外すことができない要素だと思います。

■紹介を誘発するプレゼンテーション
秀逸なターゲット設定ではありますが、目を引くのはこのターゲット設定だけではありません。

それよりも、そのセミナーや勉強会に行った際に高井さんが実践していることなのです。

高井さんは初めてお会いする相手に自己紹介をする上で、あることをいつも伝えるようにしています。

その伝える内容とはこの3つです。

① 会社のミッション
② 現在お付き合いしている企業
③ 紹介がほとんどであること

① 会社のミッション
まずは自社がどのようなこだわりを持って事業を営んでいるかということを話します。

会社移転をコストと考えるのではなく投資と考え、オフィス空間を最適なものにすることで人材をより活き活きとさせることをミッションにしていることを伝えるのです。

この『こだわり』を強く話すことによって、聞く側に魅力を感じさせます。

強いこだわりや意見には「権威」という心理効果が働きます。

「権威」とは、権力のある人に従わなければならないと自動的に考えてしまう心理です。

我々は子供のころから「親の言うことを聞く」「先生の言うことを聞く」と教育されています。

その経験から適切な権威に従うことが正しいことであり、従わないことは間違いであると認識するようになっているのです。

この「権威」の力は強いこだわりや強い意見にも同等の効果が見られます。

なぜ、小泉首相があんなにも支持率が高かったのかというと、官僚が用意したメモを読むのではなく、自分の信念を語っていたからなのです。

今回の高井さんの会社のミッション(=こだわり)を初対面の方に伝えることで、そのこだわりが「権威」の心理を誘発し、その心理が安心感にもつながっているものだと思われます。

② 現在お付き合いしている企業
現在、お付き合いしている企業が、IT系の企業が多いこと、スタートアップ企業の方が好まれること、成長意欲のある企業であることを伝えます。

ここで付き合っている企業の属性を、こと細かく分類しているところが非常にうまいところです。

紹介者が顧客を紹介する時に最も心配になるのは、無駄な紹介になってしまった時です。

紹介はしてみたものの、お互いの求めているモノが違っていて結局時間の無駄になってしまうことを紹介者は恐れています。

しかし、高井さんのように現在お付き合いしている企業をしっかり分類して伝えることは紹介者にとってどんな人を紹介すれば良いのかが明確に分かるため、該当者を検索しやすくなります。

そして具体的に紹介者をイメージしやすくなるので、実際の紹介につながる可能性が高くなるのです。

③ 紹介がほとんどであること
これは事実を伝えているだけなのですが、「紹介がほとんどです」と言われると暗に「質の高いサービス」を提供していることを想像してしまいます。

また、紹介されるという事実が高井さんを他の人も評価しているという「社会的証明」の原理をも誘発させています。

※社会的証明・・・多くの人が支持しているものを良いものと判断してしまう心理効果
(例:ベストセラー小説=おもしろい小説、行列のできるラーメン店=うまい店 など)

このような事実を聞いてしまうと、実際に当社からサービスを受けたことがない人であったとしても社会的証明の原理によって紹介しやすくなります。

この3要素を自己紹介の中に毎回盛り込むことで、紹介を誘発させているのです。

単に偶然ではなく、紹介を誘発するような営業を行っているという点に感心いたしました。

これをお読みいただいたあなたも、紹介を得るための具体的方法をゲットすることができたのではないでしょうか?

早速、今日から使ってみましょう!

■水田チェック
高井さんの営業力の源泉にはポジショニングをうまく設定しているという背景があると思います。

サービスについてはどこでもできたとしても、そのサービスを提供している先として「IT業界」「スタートアップ企業」「成長意欲のある企業」とカテゴライズしたことは大きいと思います。

小企業が大企業に勝つ戦略は、ランチェスターの戦略にもあるように「局地戦」です。

市場を細分化し、細分化した市場に経営資源を特化することで大企業に打ち勝つことができます。

例えば、家電でも個人事業主が「家電」というカテゴリーのままでは大手家電量販店に負けてしまいます。

しかし、家電の中でもパソコンだけ、そしてパソコンの中でもMACのみに特化している店、となると顧客の店に対する見方が変わってきます。

カテゴリーを特化すればするほど、大手には提供できないサービスがあるのではないかと魅力を感じるものなのです。

そして対象顧客をカテゴライズすることで、どのような企業を紹介すれば良いのかも明確になります。

ご紹介を促す時に、ついつい多くの紹介をもらいたいと思い、「どんな方でも!」と言ってしまいがちです。

しかし、改めて「どんな人であれば自分の商品・サービスを喜んでもらいやすいのか」を考える。

紹介してほしい人を具体的にすればするほど、あなたの商品・サービスの魅力は上がり、また紹介の可能性も高くなることは間違いないと思います。

■インタビュー企業
社名:株式会社ヒトカラメディア
住所:東京都渋谷区神南1-9-2 大畠ビル6F
TEL:03-6455-1940
URL:http://hitokara.co.jp/